この記事でわかること
- FXの利益にかかる税金の種類と、税率
- 利益の計算方法と、損益通算・損失の繰越控除
- 確定申告が必要になる人・時期の目安
- 申告の前に、準備しておきたいこと
結論から言うと、国内のFXの利益は、ほかの所得とは分けて、一定の税率(合計で約20.315%)で課税されます。損失が出た年も、確定申告をしておくと、翌年以降の利益と相殺できる場合があります。以下は、国税庁の案内(令和8年4月1日現在)にもとづく、一般的な内容です。
FXの利益にかかる税金
国内の金融商品取引法にもとづくFXの利益は、「先物取引に係る雑所得等」という区分で、ほかの所得と分けて計算します。これを「申告分離課税」といいます。
| 税金 | 税率 |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1% |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 約20.315% |
所得税15% × 1.021(復興特別所得税を含む)= 15.315%
住民税 5%
合計 = 約20.315%
税制は改正されることがあります。たとえば、令和9年1月1日以降は、防衛特別所得税が加わる旨が、国税庁の案内に記載されています。最新の内容は、国税庁のサイトでご確認ください。
なお、金融商品取引法にもとづく取引以外は、この特例の対象外で、課税の方法が異なります。
利益の計算の考え方
課税の対象になるのは、その年(1月〜12月)のFXの損益を、合計した金額です。年間の損益がプラスの場合に、その金額(必要経費を差し引いたもの)が、課税の対象になります。
たとえば、年間の利益が30万円で、ほかの条件を考えない場合の、税額の目安は次のとおりです。
30万円 × 20.315% = 約6万945円
※仮の計算です。実際の税額は、必要経費や、ほかの所得などによって変わります。
スワップポイントも、多くの場合、損益に含めて計算されます。詳細は、各社が発行する取引の報告書などで確認できます。
損益通算と、損失の繰越控除
損益通算:複数の口座の損益を合算できる
同じ区分の中であれば、複数のFX会社の損益を合算して計算できます。一方の会社の利益と、もう一方の会社の損失を、相殺できるということです。給与所得や株式の損益とは、通算できません。
繰越控除:損失を、翌年以降3年間、繰り越せる
その年に損失が出た場合、確定申告をしておくと、その損失を、翌年以後3年間の、同じ区分の利益から差し引けます。ただし、次の点に注意が必要です。
- 損失が出た年に、確定申告をする必要がある
- 繰り越した損失を差し引く間は、毎年、繰越に関する書類を付けて、申告を続ける必要がある
たとえば、前年に20万円の損失があり、申告して繰り越した場合に、今年50万円の利益が出たとします。今年の課税の対象は、50万円から20万円を差し引いた、30万円になります(ほかの条件を考えない場合)。
確定申告が必要になる人
会社員などの給与所得者は、給与以外の所得の合計が、年間20万円を超える場合に、確定申告が必要とされています(一定の例外があります)。この「20万円」は、利益から必要経費を差し引いた金額で判断します。
確定申告は、原則として、翌年の2月中旬から3月中旬の期間に行います。正確な期間は、毎年、国税庁が公表します。
損失が出た年は、申告が必要ない場合が多いですが、損失を繰り越したい場合は、申告が必要です。
申告の前に、準備しておきたいこと
- 取引の記録:各社の報告書や、自分の取引記録を、保存しておきます
- マイナンバー関連の書類:申告の手続きで、必要になる場合があります
- 複数の口座がある場合は、すべての口座の損益:合算して計算する必要があります
初心者が抱きやすい不安とその考え方
「確定申告が、難しそうで不安です」
利益が出ていない年は、申告が必要ない場合も多いです。利益が出た年は、国税庁のサイトの案内や、税務署の相談窓口を利用できます。判断に迷う場合は、税理士などの専門家に、相談する方法もあります。
「少額の利益でも、申告が必要ですか?」
会社員の場合は、給与以外の所得が年間20万円以下なら、原則として、所得税の確定申告が必要ない場合があります。ただし、住民税の扱いなど、例外があるため、お住まいの自治体や税務署に確認すると安心です。
利益の額ごとの、税額の目安
| 年間の所得(利益 − 経費) | 計算 | 税額の目安(約20.315%) |
|---|---|---|
| 10万円 | 10万円 × 20.315% | 約2万315円 |
| 30万円 | 30万円 × 20.315% | 約6万945円 |
| 100万円 | 100万円 × 20.315% | 約20万3,150円 |
※仮の計算です。ほかの所得や控除は、考慮していません。
損失の繰越の効果(数字の例)
前年に30万円の損失が出て、確定申告をして繰り越した場合の、翌年の課税額の違いです(仮の数字)。
| 繰越なし(申告しなかった) | 繰越あり(申告した) | |
|---|---|---|
| 翌年の利益 | 50万円 | 50万円 |
| 繰り越した損失 | — | 30万円 |
| 課税の対象 | 50万円 | 20万円 |
| 税額の目安 | 約10万1,575円 | 約4万630円 |
損失を繰り越すと、この例では、約6万945円の税額の差が出ます。損失が出た年に、申告しておくことの意味が、よく分かります。
税金の対象になるタイミング
課税の対象になるのは、一般に、決済して確定した損益(スワップポイントなどを含む)です。含み益や含み損は、決済するまでは、確定していません。また、口座から銀行口座に出金しても、それ自体が損益になるわけではありません。年間の損益を、報告書などで確認しましょう。
税金に関する用語の整理
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 雑所得 | ほかの所得の種類に当てはまらない所得。国内FXの利益は、「先物取引に係る雑所得等」に区分される |
| 申告分離課税 | ほかの所得と分けて、一定の税率で課税する方式 |
| 損益通算 | 同じ区分の中で、利益と損失を合算すること |
| 繰越控除 | 損失を、翌年以降の利益から、差し引くこと(最大3年) |
| 復興特別所得税 | 所得税額に、2.1%を上乗せして納める税金 |
1年間のスケジュール例
| 時期 | やること |
|---|---|
| 12月 | 年間の損益を、途中経過として確認する |
| 1月 | 各社から、年間の取引報告書などを入手する |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告の期間(原則)。書類をそろえて、提出する |
| 3月15日 | 申告・納税の期限(原則) |
損益の確認は、早めに行うと、慌てずに済みます。
FXの税金でよくある疑問
「スワップポイントにも、税金はかかりますか?」
FXの損益に含めて、課税の対象になる場合が一般的です。取引報告書に、スワップポイントを含めた損益が記載されることが多いため、報告書をもとに、確認しましょう。
「年の途中で、口座を閉じた場合は?」
その年に、決済した損益があれば、申告の対象になります。口座を閉じても、その年の取引の記録は、必要になる場合があります。閉じる前に、取引報告書などを、入手しておくと安心です。
「家族名義の口座の利益は、自分の申告に含めますか?」
税金は、原則として、口座の名義人本人の所得として、扱われます。他人名義の口座を、自分の代わりに使うことは、トラブルの原因になります。ご自身の名義で、口座を開設しましょう。
税金の勉強に使える情報源
- 国税庁のタックスアンサー:税金に関する疑問に、答える解説が掲載されています
- 国税庁の申告書作成コーナー:画面の案内に従って、申告書を作成できます
- 税務署の相談窓口:申告の時期には、相談を受け付けています
- 各社の取引報告書:損益の確認と、申告の準備に使えます
税制は改正されることがあるため、最新の情報を、公式の情報源で確認する習慣をつけましょう。
よくある質問
Q. FXの税金は、口座ごとに計算しますか?
A. いいえ。複数の口座で取引した場合も、すべての損益を合算して計算します。
Q. 損失が出たら、ほかの所得から差し引けますか?
A. いいえ。FXの損失は、給与所得などから差し引くことはできません。翌年以後3年間の、FXなどの利益との相殺になります。
Q. 海外のFX会社の場合も、同じですか?
A. 金融商品取引法にもとづく取引以外は、この特例の対象外で、課税の方法が異なります。詳しくは、国税庁や税務署にご確認ください。
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まとめ
- 国内FXの利益は、申告分離課税で、合計約20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税5%)
- 複数の口座の損益は、合算して計算できる。給与所得などとは通算できない
- 損失は、申告をすれば、翌年以後3年間、繰り越せる(毎年、申告を続ける必要がある)
- 会社員は、給与以外の所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要(例外あり)
- 取引の記録を、日ごろから保存しておく
FX(外国為替証拠金取引)は元本や利益が保証されたものではなく、レバレッジ効果により投資元本を上回る損失が生じるリスクがあります。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や助言、および税務上の助言を目的としたものではありません。
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