この記事でわかること
- 損切りできないときの、心理の仕組み
- よくある4つのパターン
- ルールで損切りを実行しやすくする方法(数字の例つき)
- 損切りを続けるための、工夫
結論から言うと、損切りができないのは、意志が弱いからではなく、損失を強く避けたくなる、人の心理の傾向によるところが大きいと言われます。気持ちに頼らず、取引の前に、ルールと注文で決めておくことが、現実的な対策です。
損切りができない心理
行動経済学では、人は、同じ金額でも、利益を得る喜びより、損失を受ける痛みのほうを、強く感じる傾向があると説明されています(損失回避と呼ばれます)。
そのため、含み損が出ているときに、決済して損失を確定させることが、つらく感じられます。「もう少し待てば、戻るかもしれない」と、決済を先送りしやすくなります。
よくある4つのパターン
1. 「確定させたくない」
損失を確定させると、失敗を認めることになるため、決済を避けたくなります。含み損のままなら、まだ損失ではない、と感じやすくなります。
2. 「取り返したい」
すでに出ている損失を、取り返したいという気持ちから、決済せずに持ち続けたり、買い増したりしてしまいます。
3. 「これだけ待ったのだから」
これまでに使った時間や、含み損が大きいほど、今さら決済できない、と感じる傾向があります。過去に使ったものを惜しむ心理です。
4. 損切りの後に、戻るのが怖い
損切りしたあとに、価格が戻ると、悔しい気持ちになります。この経験が、次の損切りをためらわせることがあります。
関連記事:「FXで失敗しやすい初心者の行動パターン7選と、対策」
ルールで、損切りを決めておく
気持ちに頼らず、取引を始める前に、損失の上限を決めておく方法があります。次の手順で、考えてみましょう。
- 1回の取引で許容する損失額を、決める:たとえば、口座資金の1%程度に抑える、という考え方が、一つの目安として紹介されることがあります
- 損切りの位置(幅)を、決める:何pips動いたら決済するかを、決めます
- その2つから、取引数量を計算する
たとえば、口座資金が30万円で、1回の許容損失を1%(3,000円)、損切り幅を30pips(0.3円)とした場合の計算は、次のとおりです。
許容損失 3,000円 ÷ 損切り幅 0.3円 = 1万通貨
必要証拠金(1ドル=150円、25倍)= 6万円 → 証拠金維持率 500%
※仮の数字です。損切り幅や許容損失は、ご自身の資金や取引スタイルで決める必要があります。
損切りを実行しやすくする工夫
- 取引の開始と同時に、逆指値注文を入れる:損切りを、機械に任せます
- 決めた損切りラインを、後から広げない:不利になってから、幅を広げると、損失が大きくなります
- 数量を、小さくする:損失が小さければ、心理的に決済しやすくなります
- 損切りの結果を、記録して見直す:ルールを守れたかを、確認します
損切りをした場合と、しない場合の比較
損切りの意味を、数字で確認してみましょう。口座資金30万円で、1ドル=150円のときに、1万通貨を買ったとします(仮の数字です)。レートが下がり続けた場合の、含み損と、証拠金維持率の変化です。
| 下落幅 | 含み損 | 有効証拠金 | 証拠金維持率 |
|---|---|---|---|
| 0.3円(30pips) | 3,000円 | 29万7,000円 | 約495% |
| 3円 | 3万円 | 27万円 | 450% |
| 10円 | 10万円 | 20万円 | 約333% |
| 24円 | 24万円 | 6万円 | 100% |
| 27円 | 27万円 | 3万円 | 50%(ロスカットの目安) |
損切り幅を0.3円(30pips)と決めておけば、損失は3,000円で止まります。一方、決済を先送りして、27円下がるまで持ち続けると、27万円の損失になり、ロスカットの水準に近づきます。
※必要証拠金は6万円(1万通貨、150円、25倍)で一定とし、スプレッドは考慮していません。実際のロスカット水準は、会社によって異なります。
関連記事:「ロスカットとは?初心者が知っておくべき仕組みと対策」
利益は早く確定したくなる心理
損切りとは逆に、利益が出ているときは、「減る前に確定したい」と、早く決済したくなる傾向も、指摘されています。「利益は早く確定し、損失は先送りする」という行動は、行動経済学で「処分効果」と呼ばれています。
その結果、利益は小さく、損失は大きくなりやすくなります。この偏りは、損益比が悪化する原因になり得ます。損切りだけでなく、利益確定のルールも、あらかじめ決めておくことが大切です。
損切りの考え方(3つの方法)
- 価格で決める:入った価格から、一定の幅(pips)が逆に動いたら決済します。逆指値注文で、機械的に実行できます
- チャートで決める:トレンドラインや、直近の安値・高値を割ったら決済します。ラインの位置は、事前に決めておきます
- 時間で決める:一定の時間内に、想定した動きにならなければ、決済します
どの方法でも、共通するのは、「入る前に決める」ことです。含み損が出てから決めると、感情が入りやすくなります。
関連記事:「トレンドとは?トレンドラインの引き方【初心者向け】」
損切りルールのチェックシート
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 1回の許容損失 | 口座資金の1%(30万円なら3,000円) |
| 損切りの位置 | 入った価格から30pips下、または直近の安値の下 |
| 取引数量 | 許容損失 ÷ 損切り幅で計算 |
| 損切り後の行動 | すぐに再エントリーしない。記録して、次の機会を待つ |
| 連敗したとき | 3連敗したら、その日は取引を休む |
※例です。ご自身の資金や取引スタイルに合わせて、決める必要があります。
損切りのあとの、気持ちの整え方
- 結果ではなく、ルールを守れたかで評価する:ルールどおりの損切りは、「必要なコスト」と考えます
- 記録をつける:損切りの理由と、そのときの気持ちを、一言残します
- 必要なら、一度休む:感情が高ぶっているときは、取引しない選択もあります
損切りが難しいときの、小さな練習
- デモで、ルールどおりに損切りする:損失が実際の資金ではないため、練習しやすくなります
- 最小の数量で、実際に取引する:損失が小さいため、決済しやすくなります
- 「3回だけ、ルールを完全に守る」ことを目標にする:小さな成功を積み重ねると、習慣になりやすくなります
最初から、完璧を目指す必要はありません。まずは、「入る前に、損切りの位置を決める」ことから、始めてみましょう。
損切り幅を決めるときの考え方
損切り幅は、狭すぎると、通常の値動きで、すぐに決済されてしまいます。広すぎると、1回の損失が大きくなります。決め方の考え方として、次のような方法が紹介されることがあります。
- 直近の安値・高値を基準にする:入る位置の近くにある、値動きの節目の外側に置きます
- 値動きの幅を基準にする:直近の値動きの大きさ(1日の値幅など)を目安にします
- 許容損失から逆算する:許容できる損失額と、取引数量から、幅を決めます
どの方法でも、「損切り幅を決めてから、数量を決める」順番が大切です。数量を先に決めると、損切り幅を狭くせざるを得なくなり、すぐに決済されやすくなります。
損切りは、資金を守るための仕組み
損切りは、失敗を認める行為ではなく、次の取引を続けるための資金を守る仕組みです。損失を小さく抑えておけば、資金が残り、冷静に、次の判断ができます。反対に、損失を先送りして、資金が大きく減ると、取り返そうとして、無理な取引をしやすくなります。損切りを、「コスト」ではなく、「保険」のようなものと考えると、実行しやすくなるかもしれません。
初心者が抱きやすい不安とその考え方
「損切りすると、必ず損をするのでは?」
損切りは、損失を確定させる行為ですが、損失の拡大を防ぐための仕組みでもあります。損切りをしなかった場合に、損失が大きく広がるリスクと、比べて考える必要があります。
「損切りの後に、戻ってしまうのが不安です」
損切りのあとに、戻ることは、誰にでも起こり得ます。1回1回の結果ではなく、ルールを守れたかどうかで、評価するように意識すると、気持ちが楽になります。
よくある質問
Q. 損切り幅は、何pipsがよいですか?
A. 決まった数字はありません。通貨ペア、時間足、取引スタイルによって異なります。自分の許容損失額と、取引数量から、逆算して決める考え方があります。
Q. 逆指値を入れても、損切りできないことはありますか?
A. 相場が急変したときは、指定した価格と違う価格で決済されることがあります(スリッページ)。また、逆指値を、後から動かしてしまうと、ルールの意味がなくなります。
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まとめ
- 損切りできないのは、損失を避けたくなる、人の心理の傾向によるところが大きい
- よくあるパターンは、確定させたくない・取り返したい・これだけ待った・戻るのが怖い
- 取引の前に、許容損失額と損切り幅を決め、数量を逆算する
- 逆指値を最初に入れ、損切りラインを後から広げない
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